ゼロの使い魔【魔を滅する転生者】

最終章:[そして魔を滅する転生者](1/13)

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 どうしてこうなった?

 ユートは頭を抱えたくなるくらいで、目の前に広がる光景を見つめる。

 この光景をユートは識らないが、だけど彼ら彼女が何なのかは識っていた。

 ガリア王国北花壇騎士団(シュヴァリエ・ド・ノールパルテル)に所属している傭兵で、元素の兄弟といえばその筋でも有名だ。

 悪戯好きだと云われれば納得したくなる一番小さい金髪碧眼少年が年長、彼の名前はダミアンという。

 次兄は筋骨隆々な顔や体には刺青なのか赤い隈取りを描く大男、土系統魔法の使い手で名前はジャック。

 金髪に狐目というか糸目が三男、戦闘好きで頭の中は残念なドゥドゥー。

 紅一点は長めの紫の髪、ゴスロリにしか見えない服を身に纏い、白い肌に青い瞳なジャネット。

 元素の兄弟はガリア王国の北花壇騎士団に所属してはいるが、そもそも他とは違い南百合騎士団や東薔薇騎士団みたいな花の名前を冠していない花壇騎士団、タバサが所属していた訳だが汚れ仕事が行う非合法な組織に近い。

 彼らの目的は定かではないが、確かユートが覚えている限り可成り金に執着をしていた筈で、ガリア王国で政変が起きてから以降は傭兵に転職してたらしく、灰色卿と報酬関係でトラブっていた。

 それがこのド・オルニエールにやって来たとは? 金に執着しているから高額を提示しないと面倒な仕事は受けなさそうで、ならば誰が雇った?

 ガリア王国のジョゼフやイザベラは間違いなく違うだろう、ジョゼフはユートの積尸気使いとしての力でシャルルと再会、仲違いを取り持って貰って感謝すらしているし、イザベラなど言わずもがなでお腹の中の赤ちゃんはユートの子で、今は穏やかにプチトロワで過ごしているのだから。

 そうなると金にならないとガリアを出奔したのか、それなら雇い主とはいったい誰を指す?

「君らはどうして此処に? ルイズを人質にしてどうする心算だ!?」

 取り敢えず対話。

 正直、まだ潰していないイベント関連を考えてはいたが、元素の兄弟に関しては全くノーマーク状態。

 ジャネットみたいな美少女も居るし、接触して味方に付ければ良かったと少しばかりの後悔がある。

「なーにね、ちょっとした依頼を受けたんだよ」

 少年――長兄のダミアンがニコリと笑顔を浮かべ、ユートの質問に答えた。

「……依頼? 誰から?」

「それは言えないかな」

 まあ、それはそうだ。

 雇い主の情報をペラペラと喋る傭兵なんぞ、決して信用をされたりしない。

 こうなると原典に於ける聖エイジス三二世の関係、つまりヴィットーリオ・セレヴァレ枢機卿にも接触を持った方が良さそうだ。

 本来の彼はロマリア皇国の教皇聖下であったけど、この世界線ではマザリーニが教皇に就いた為に、彼は単なる枢機卿に過ぎない。

 だが、権力は低くなっていてもジュリオを召喚した虚無の担い手、初代教皇たるフォルサテの子孫というのに変わりない。

 暴発されては厄介だ。

 目の前の四人を見遣り、溜息を吐いてそう思った。

 それにしても、アニメ版のラストたる【ゼロの使い魔F】に在った描写が目前で繰り広げられているが、ジャネットは百合(レズ)なのだろうか?

 頬を朱に染めながらも、掴まえたルイズの首筋へと舌を這わせているし。

 そういえばユーキ曰く、本来のクー子があんな感じにニャル子へ迫るとか。

 寧ろ、もっと激しく百合百合な感じで。

 それは兎も角……

「雇い主はまあ良いけど、目的は何なんだ?」

「何、ちょっとこの娘を欲しい奴に渡すだけさ」

「何だと?」

 ルイズを欲する相手……虚無の担い手としてガリアのジョゼフが浚おうとした事実はあるが、それは原典での話であるから無関係。

 一応、敵対していたなら彼らは北花壇騎士団員だし筋は通るのだが、ジョゼフが今は味方にも等しいのだから有り得ない。

 そもそもルイズが虚無の担い手なのを知る者など、実はこの世界線では可成り限られている。

 三大国の王族、ルイズの家族、ユートやユーキ――それにエルフやロマリアのヴィットーリオ枢機卿。

 それにマザリーニ教皇。

 だが、情報は基本的には上で留められている。

 ルイズの公的な系統魔法は風なのだから。

 だが……である、ヴィットーリオは鏡の魔法によりルイズの事も知っている筈だし、ジュリオだってその関係から知っている。

 果たして他に知る者が居るかは不明、一応は十二宮騎士団の聖騎士やグラモン元帥も知っているが……

「お前達の依頼人は誰だと訊いても答えない訳だし、ルイズを放せと言ったとしても聞かないよな?」

「当然ね」

 ピチャッ。

「ひあっ!?」

 答えながらルイズの首筋舐めるジャネット、淫靡な水音が響いてその濡れ濡れな感触に悲鳴を上げてしまう当のルイズ。

 どうやら随分と楽しんでやっているらしい。

 ルイズが感じているのを視て半勃ちしてしまった。

 義妹とはいえどルイズは文句なしの美少女であり、タバサやユーキ程ではないが小柄で可愛らしいタイプな事もあって、性的な快楽を得て頬を染めて目を瞑りながら仰け反る姿はエロティカルで、胸が無いのが寧ろ背徳感を醸し出す。

 これで勃たなければ男として認めん!

 ロリコン? ルイズは既に一六歳だからそんな理論は成り立たないのだ。

 推奨こそされてないが、日本でもこの年齢となれば結婚だって合法だから。

 ハルケギニアなら一二歳くらいでもアリな訳だし、タバサはルイズよりミニマムだったけど、一五歳だから充分な年齢とも云えたから抱いている。

「ルイズを放せば情状酌量を認めてやらないでもないんだが、さてどうする? 元素の兄弟」

「へぇ、僕らの事も先刻御承知という訳か」

 長兄のダミアンが言う。

「これが最後通牒ってやつになる。ルイズを放してから投降しろ。そうすれば、酷い目に遭わずに済むぞ。これを無視するならば僕は外道にすらなる!」

「ふん!」

「莫迦かお前は? 此方が優位なんだよ!」

 筋肉達磨が鼻で笑って、狐目が言い放つ。

「ダミアンとジャネットも同意見かな?」

「残念だけどね」

「こうしてルイズちゃんを確保した時点で、私達の勝ちなのよ」

 どうやら投降の意志など無いらしい。

「本当に残念だ。否、条件は満たしてしまったか」

 ピッ!

 ユートが人差し指を伸ばした右手を前に掲げる。

「あら、魔法を使ったりしたらルイズちゃんがより酷い目に遭うのよ?」

「魔法? 何を甘っちょろい事を言っているんだか」

「? 何を言って……」

 ズクン!

「ヒッ!?」

 突然、ジャネットが頬を真っ赤に染めて脚を痙攣させながら脂汗を流す。

「ジャネット、いったいどうしたんだい?」

 ダミアンが訊ねるもののジャネットは腰砕けな状態となり、立っていられないとばかりに膝を付く。

「おいおい、どうしたんだジャネット?」

 筋肉達磨――ジャックも異変に気付いて訊ねる。

「アン!?」

「「「は?」」」

 そんな兄弟の思いと裏腹に甘い喘ぎを吐き出して、ルイズを手放すと御股へと右手を伸ばす。

「ちょっ、ジャネット? そういう事は仕事を終えて一人の時に!」

「イヤ……ダ、ダメェ!」

「「「ナニが!?」」」

 行き成り耽る末妹に対して流石に戸惑うダミアン、嬌声を上げる彼女に三兄弟は絶叫した。

「ぐっ、君はジャネットに何をしたんだ?」

「教える訳が無いだろ? お前らだって依頼人について教えないんだから」

「チッ!」

 普段は冷静沈着だけど、ダミアンもこれには焦ったのか舌打ちをする。

 その間にもまるで狂った様によがるジャネットは、もうルイズへと構っている余裕も無くなり、ひたすらにこの感覚から逃れようと指を秘裂へと這わす。

 だが、快楽こそ強くなるがイク事が出来ずに涙を流して地面をのた打つのみ。

「チィッ! ジャネットを元に戻せ!」

 三男たるドゥードゥーが攻撃を仕掛けて来るけど、ユートは再び指を彼に向けて伸ばした。

 ピッ!

「ふぐぅっ!?」

 行き成り腰砕けとなり、倒れてしまった。

「なっ!? ドゥードゥーまでもが?」

 ダミアンは余りの出来事に驚愕した。

「序でに喰らっとけ」

 ピッ! ピッ!

「くぅっ!?」

「うおっ?」

 ダミアンとジャックまで腰砕けとなる。

「お義兄様、いったい彼らに何が起きたのですか?」

 ルイズも流石に気になったのか、ユートへと駆け寄って訪ねてきた。

「ルイズ、君は人間が持つ感覚や感情が何処から発生するか解るか?」

「――へ? 感覚や感情って言われても……」

「痛い、熱い、痒いとか、喜怒哀楽という感情とか。それが何処からくるかだ」

 或いはジャネットが感じている『気持ち良い』感覚でも構わない。

「うっ、判りません。感情なら心……でしょうか?」

 薄い――ユーキやタバサよりはマシだが――胸に手を添えて答える。

 果てしなく戸惑いを覚えながらのもの。

「心というのは実質的には詩的な言葉だ。現実に心は臓器でも何でも無いしね」

「は、はぁ……」

 要領を得ないのだろう、ルイズは頬を掻きながらも軽い受け答えをした。

「その答えはどちらもココから発生している」

「頭?」

 ユートがトントンと人差し指で叩くのは、自分自身の頭であったと云う。

「頭の中に存在する臓器、脳という器官だ」

「脳?」

「そう、生物を生物足らしめる器官が脳だよ。フフ、これは幻朧拳のちょっとした応用さ」

 まあ判っていた事だが、ハルケギニアには医学的な知識が余り存在しない。

 脳とか言われても漠然とした事しか理解も叶わないだろうと、初めからユートもそんな気がしていた。

「仮に肉体が生きていたとしても、脳が活動を停止したら生物はもう死んだのと変わらない。謂わば脳死と呼ばれる現象だね」

「それが今の彼らと関わるのですか?」

「勿論だ。例えば……」

「痛い!?」

 突然、ユートにより頬をつねられて痛がるルイズ。

「な、何を?」

「こうして今、つねったらルイズが『痛い』と感じたそれは、僕がつねった部分の神経が脳に信号を送り、それを受け取った脳がそれは『痛い』のだと反応する事によって、ルイズはすぐに『痛い』と返したんだ」

「……あ」

 言いたい事は何となしに理解が及んだ。

「全ては脳による判断だ。ならば脳に擬似的な反応を起こさせたらどうかな?」

「擬似的な?」

「そう、男女の睦み合いで起きる感覚を脳が『起きた』と感じたなら、その為の脳内物質を分泌するんだ。その結果があれだ」

 指差した先に元素の兄弟が踞っていたり、ジャネットは未だに『アンアン』と啼いていた。

「男三人は喘がせても気色悪いから、すぐに脳内へと絶頂をしたと命じさせた上で限界以上に射精させた」

「しゃ、せい……」

 これでも一六歳なれば、射精の意味はルイズにだって理解が出来、真っ赤っかとなってしまう。

「僕は兎も角、人間に出せる子胤なんぞ一日に限度があるからね。限度を超えて射精させられたらあんな感じにもなるさ」

 いつの間にか金髪少女が仲間を引き連れ、ダミアンとジャックとドゥードゥーを拘束している。

「シプレ、三人を地下牢に入れておけ」

「はい、ユート様!」

 十二宮騎士団・魔導部隊が長のシプレ。

 魔導衣(ワイズ)の一つたる【雷光】を与えられて、ユーキによりフェイト・テスタロッサのコスプレ娘と化した少女だが、ユートが喜んでいたから受け容れた格好となる。

 元々の――ガリア王国に存在したセント・マルガリタ修道院に暮らしていた頃の名前を捨て、ユートから与えられた名前で新たな生を甘受していた。

 特にシプレと他に数名、信仰にも似た感情で仕えている為、ユートの命令ならどんな理不尽でも受け容れて行うだろう。

 今すぐ裸になれと言われれば脱ぐし、股を開けと命じられれば抱かれもする。

 死ねと言われたらすぐにナイフで喉を掻き切りさえする程、シプレ達はユートに信仰心と忠誠心を全力で誓っていた。

 果てしない『愛』と果てしない『哀』が全てを支える原動力。

 故にこそ、ジャネットを残して三人を捕らえた。

 彼女がどうなるか理解をした上で、そして自分自身が御褒美を貰う為に。

「さて、続きだ」

 最早、ダミアン達に目も呉れずルイズに向き直る。

「先程も言った通りだが、全ては脳による反応なんだけど、今のジャネットには男女の睦み合いで挿入されて突かれるという感覚を、脳内への命令で受け取っている。つまり、ジャネットは今正に男に抱かれているみたいなものだな」

「そ、そうですか……」

 もう一杯一杯になってしまい、頭から湯気が出るくらい脳内妄想が酷くなってきて倒れそうだ。

 見ればさっきまでしたり顔で自分を捕まえていた影は見えず、ジャネットは股を押さえて胸を揉みながら肢体を弓形に反らしつつ、喘ぎ声を上げていた。

「但し、普通なら突かれていればいずれ絶頂に至り、満足感に満たされるんだろうけどね、イク事は出来ない様にしてあるからいずれは快楽に狂いながら死ぬんじゃないかな?」

「うぇっ!?」

 快楽は気持ち良いという感覚だが、過ぎれば薬だって毒になる様に快楽を与えられ続ければどうなるか?

 言わずもがなだろう。

 かれこれ三〇分は過ぎ、ジャネットの下着は御小水を漏らしたみたいにグチョグチョに濡れ、快楽を受け続けて発汗しているからかゴスロリ風な服も汗に塗れてグッショリ、顔は美少女なのだが今は快楽で歪み、涙と涎で見る影も無い。

 だけどイク――絶頂を迎える事が出来ないから留まる事を知らず快楽は続く。

 女がイケなくても普通は男が耐え切れずイクのだろうけど、別にジャネットはセ○クスをしている訳ではないから脳内命令で快楽を感じているに過ぎない為、この状態が終わらない。

 しかも、御丁寧に快楽は緩急が付けられたりと一定ではなく、慣れてしまう事すら出来なかった。

「あ、あの……お義兄様」

「ん?」

「彼女はどうなりますか? やっぱり死ぬとか?」

「死ぬな。女は女の快楽に耐えられる様に作られているけど、本来の睦み合いとは違って休み無くヤり続けている様なもんだ。僕とて相手を休ませながらヤる。それが無ければ肉体的にも辛いし、脳が焼き切れるかも知れないしね」

 お忘れかも知れないが、ユーキの前世たる橋本祐希の死因は、女の子の絶頂を体感した事による心臓麻痺である。

 男は女の子の絶頂を耐えられない為、心臓麻痺を起こしてしまう。

 これは例えば出産の痛みも同様であり、力は弱くても耐久性や生命力は新たな生命を産む関係で強い証。

 だが、快楽が幾日も続けば軈て限界が訪れよう。

「じゃあ、あの侭に?」

「まさか。依頼人を喋らせたら終わらせるさ」

「そ、そうなんですか?」

「ルイズは見ない方が良い残虐なヤり方だ。邸に戻った方が良いぞ?」

「わ、私が狙われたんですから! 見てます!」

「忠告はしたぞ?」

 ルイズは、ジャネットがナニをされるのか想像はついていた。

 だからだろう、ゴクリと喉を鳴らして見つめる。

「ジャネット、喋る気にはなったか? 頼みの兄達は地下牢に入っているから、助けなんて有り得ないぞ」

「ひ、う……」

 快楽に恐怖が混じる表情となり、それでも襲い来る快感に耽ってしまう。

「素直になるなら絶頂を、最高の快楽と共に与えてから終わらせてやる……が、喋らないならずっとその侭で命が果てるまでイク事が無い今の状況が続く」

 プルプル。

「ゆ、るして……」

 際限無く襲う快楽ならば……イク事が叶うならまだ耐えられたジャネットも、それが無ければ精神も肉体も疲弊して死ぬ。

 それは耐えられない。

 死ぬのはまだ良かった、せめてイキたいのだ。

「お、ね……がい、イキ……たいの……」

 息も絶え絶えに懇願するジャネットに、ユートすら嗜虐心を擽られている。

「なら隷属すると誓え」

「……は、い……」

「その証にこれを首に自ら着けろ」

「そ、れ……はっ!」

「最近、トリステインにて流行りの【隷属の首輪】。僕の造ったアイテムだよ」

 判り易い奴隷の証。

 マジックアイテムの一種であり、持ち主と契約的なラインが結ばれる。

 首輪という処に支配欲を顕していた。

 こいつらが現れた時は、流石に頭を抱えたユートではあるが、今はこの嗜虐心を宥める為に目の前で痴態を晒す少女を弄ぶ事が肝要だったから今は忘れる。

「さあ、どうする?」

 未だに快楽に襲われていたが、ジャネットに選択肢など無かった。

 すぐに拾って首に着け、それを見せ付ける。

「宜しい。今日から君は、僕の萌衣奴だ」

 ユートが初めて萌衣奴を手に入れた瞬間だった。

 萌衣奴とは読んで字の如く――萌える衣を纏う奴隷の事であり、メイドとは異なるスタンスである。

 仕事はメイド業務に+、主への性的な御奉仕。

 可成り未来で二番目となる萌衣奴は、ミッテルトと呼ばれる堕天使である。

「先ずはそうだな、さっきから卑猥な喘ぎ声を出しているそのお口で、僕のモノを満足させて貰おうかな」

 取り出したるはユートの勃ち上がる分身、グロテスクな大きさで脈打つ筋が浮くそれを視て、ジャネットは恐怖すら感じた。

「ヤり方くらいは知っているだろ? 快楽に耐えながら確り口と舌を動かせ」

 命じられたジャネット、恐怖は当然あるが拒める筈もなくて、快楽で緩慢ながらも顔を近付けて口を大きく開くと、ユートの分身へとしゃぶり付いた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 二時間後、すっかり終わらせたユートが服を着ながらルイズへ顔を向ける。

 足下にはジャネットが、肩で息を吐きながら意識を失っていた。

 地面に染み込む赤いモノが初めてだった事を示し、あらゆる液体でグチョ濡れ状態である。

「見ない方が良いと言っただろうに」

「うう……」

 今のルイズは下着が濡れているのだろう、女の子座りでへたり込んでいた。

「にしても、ゴルドラン……じゃなくて……ゴルディオンハンマー? あいつ、研究主任を売った金で何をやってるんだか」

 正確にはゴンドラン。

 今は名ばかりの王立魔法アカデミーの所長だ。

 基本的に益体の無い研究ばかり推奨し、エレオノールやヴァレリーの研究には異端を押し付けていたが、その余りの無意味な研究にエドワード一世が激怒し、研究資金を打ち切るとまで言わしめた。

 そりゃ、始祖の熾こした炎の揺らぎとか風の吹かせ方なんて、国に何の利益も齎らさないのだからそれは至極当然の帰結。

 ゴンドランはそれを逆恨みして、元素の兄弟を雇いユートへと送り込んだ。

「本当に愚かだな」

 大人しくエレオノールとヴァレリーを売った資金で細々と、自己満足的な研究にでも耽って余生を過ごしていれば良かったものを、わざわざユートに喧嘩を売ってくるとは……

「二十年前の悲劇の事もあるし、連中にはやはり疾く消えて貰おうか」

 ダングルテールの悲劇、ユートはアングル地方に住み着いたアルビオン人による自業自得も含まれたが、ある意味で同情もあった。

 生き残りが既に一人切りだし、生まれる前の事だから特にアクションも起こさなかったが、ユートを狙った暗殺騒ぎはやり過ぎで、故に奴等を始末する動機も生まれてしまう。

「ゴンドランよ……さあ、お前の罪を数えろ!」

 王立魔法アカデミーが在る方向に指差し、クルッと回って言い放ったと云う。


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