ゼロの使い魔【魔を滅する転生者】

第16章:[天空の白き英雄王](1/41)

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 自身の宿業を思い知り、ユートはカトレアやシエスタやジェシカを狂った様に抱いていた。

 流石に4○は初めてで、それでも3人はユートからの責め苦に等しい行為に、心身共に疲れ果てる。

 何とか口や胸で搾る事で休憩をしていたが、結局は全員が気絶してしまう。

 いつもなら余裕を持ち、相手を気遣いながらお互いに快楽を得るヤり方であるのにも拘わらず、気絶する寸前にカトレアはユートらしくないと思った程だ。

 今回のこれにはちゃんと理由がある。

 先ず死に掛けた事による防衛本能で、いつもよりも性欲が高まった事だ。

 唯でさえクトゥルーに犯されて以来、性欲が強まっていてヤるとなれば全てを吐き出すまで続けていた。

 その為、1人では壊れてしまうと考えたカトレアとシエスタは、そろそろ数人で相手をした方が良いかも知れないと思う程である。

 ジェシカ参入は普通なら有り得ない事に、2人にとっては望む展開だった。

 何しろ、増えてしまうとそれだけ寵が減りかねないのだから。

 だが事、ユートの場合は寧ろ増えなければ下手をしたらヤり殺される。

 腹上死ならぬ腹下死だ。

 やはり負担は女性の方が大きいのである。

 実際、現在のベッドの上にはカトレアとシエスタとジェシカが、まるで死屍累々でベッタリと液体で肢体を汚しながらも、明らかに気絶した風体。

 呼吸をしている証である胸の上下運動が見られなければ、すわ死んでいるのと見紛うであろう。

 気絶する寸前にカトレアは思ったものだ。

『そろそろ、誰か新しい娘を引き入れないと躰が保たないかも……』

 憐れな犠牲者? が誰になるかは、カトレアのみぞ知る世界……


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 まるで眠る様に気絶している3人の艶姿を見つめ、未だに治まり遣らぬ下半身に困りながらも、ユートはカトレア達を撫でてやる。

 というより、艶姿を見ているから屹立した侭なのかも知れない。

 眠り遣るカトレア達は、三者三様の美しさで双子の月光に照らされ、何処かしら神秘的な輝きを放って、男心というかスケベ心を擽ってくれる。

「まったく、最低だね」

 自嘲するユート。

「色々と衝撃的な事実ってのを知って動揺していたとはいえ、それを叩き付けるかの様にヤるなんて……」

 相手を気遣う余裕も既に無く、欲望の赴く侭に悦楽に浸って一時的にも目を逸らして忘れようとした。

 カトレア達からしたら、堪ったものではない。

「ごめんな、だけど怖かったんだ。僕はきっといずれは死んでしまう。再転生は可能だろうけど仮令、記憶が保持されるにしても……肉体的には最早、別人だ」

 果たして、そんな自分に使徒となってまで付いてきてくれる娘が何人居るか?

 メリットは有るのだが、デメリットも相応に有るのだから。

 メリットとして、やはり老いが無いのが一番だと思われる。

 女性なのだからいつまでも若い方が嬉しいだろうし面倒なスキンケアだとか、アンチエイジングなどしなくても、今の肌の張りやら瑞々しさの維持が出来て、おまけに皺などの心配が要らないのだ。

 他にも身体能力の向上、魔力や精神力も随分と上がる筈であり、更には何処ぞの欧州の魔王の如く千年を在り続けても、記憶が心太方式で無くなる事もない。

 これは単純に脳へ記憶をするのではなく、膨大なるネットワークをヴォイドに構築して、それを脳髄代わりにしているからだ。

 ミサカ・ネットワークを想像すると解り易い。

 デメリットは、基本的に寿命で死なないから親だけでなく、兄弟姉妹や子供や孫にまで置いていかれてしまうのと、いつまでも若いというのが世間一般では、やはり異常であるからいつか隠遁せねばならない事。

「その為の拠点も要るか」

 若しも再転生をするであろうユートに、いつまでも付いて来てくれる事を選ぶ娘が居たなら、当然ながら考えておかねばなるまい。

 ユートの個人的な希望としては、やはりカトレアとシエスタくらいは一緒に居て欲しかった。

 そんな想いを懐きつつ、ユートはカトレア達の手を取って、順番にキスをしていくと毛布を掛けてやり、外へと歩き出す。

 赤と碧の双月に照らされながら高くジャンプして、【魅惑の妖精亭】の屋根に登ると夜天の星を見遣り、まるで掴もうとするみたいに腕を伸ばした。

 地球でないからか、それとも日本に相当する地域ではないからか、ユートが観たハルケギニアの星は星座として成立してない。

 暗い漆黒の夜空を見つめていると、カトレア達との情事がユート的に中途半端だったからか、エセルドレーダとの事を思い出す。

 マスターテリオンが許可して、エセルドレーダ本人も乗り気だったとはいえ、彼女をユートは抱いた。

 否、男の尊厳に関わるが寧ろ抱かれたに等しい。

 始終、リードされっぱなしだった上に結局、彼女が気を遣ったのは最後の一度のみだった。

 それとて、せめて一度はスッキリしたいエセルドレーダが意図的にそうしたに過ぎず、要するにユートはエセルドレーダを満足させる事が一度も出来なかったという事である。

 流石は数えるのも愚かしいくらい、閉じられた無限螺旋の中でマスターテリオンに奉仕してきた強者。

 セッ○スの快楽を知って間もない小僧では、相手にすらならない。

 最後の科白……

『次に会う日までには、私を満足させるだけの性技を身に付けなさい』

 これにはヘコんだ。

 まるで母の様に、姉の様に穏やかな微笑みを浮かべていたのが印象的だった。

 やはり普段は無表情で、笑う時は寧ろ嗤っているという感じだし、あんな微笑み方も出来るのかと感動を覚えたものである。

「まあ、今の侭じゃ遠い夢に過ぎないな……」

 あんな、ただ乱暴に犯すだけの情事をしている様では正に夢物語。

 再会を果たせたとしてもこれでは失望される。

「あれ?」

 ハルケギニアの北極星(ポラリス)の隣に、見覚えのある星の並びを見付け、それを指で線を引くかの様になぞってみた。

「キリン座……いや、麒麟星座(カメロパルダリス)」

 それを詠み取ったユートはくつくつと笑い……

「案ずるより産むが易し、兎にも角にも話してみるしかないよな」

 右手をギュッと握り締めると、宣言でもするかの如く口に出していた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 空けていたのは二日間でしかなかったが、死に掛けた事も手伝ってか何ヵ月も留守にしていた気がする。

 余計な闘いもあったが、そろそろ動かねばならないと考えている。

 即ち、白の国アルビオンへの遠征だ。

 始祖の降臨祭に掛かるのは正直、面倒しかないから勘弁して欲しい処。

 事実、原作の【ゼロの使い魔】でもミョズニトニルンの策略に、すっかり陥ってしまって敗走させられ、才人が七万の軍勢にたった一人で駆け抜けるという、有り得ない殿を務めさせているのだから。

 ユートはヴァリエール公爵怪と実家に、手紙を認めて鷹便を飛ばした。

 アルビオンの攻略及び、レコン・キスタの潰滅……ウェールズの王権を取り戻すその為に。

 それから数日後、両家からの返信がユートの許へと届いた。

 始祖の降臨祭までに戦争を終わらせるべく、開戦はヤラの月に入る前に行わねばならない。

 勿論、時間を掛ける事になるのも視野に入れるのならば、夏休み終了後のすぐ……ラドの月からケンの月には始めたい処だ。

 原作では、ウィンの月の後半に始めた所為で結局、ヤラの月に掛かった。

 然し原作とは違う部分があるから、始めるタイミングは此方で調整出来る。

 問題が有るとしたなら、あの裏切者の高等法院長のリッシュモンが横槍を入れかねないという事。

 それ以外でなら、二つの大きな要因(ファクター)が有利に働く。

 トリステインの国王と、ウェールズ皇太子の生存。

 これにより、ウェールズ皇太子の要請に応じて叔父であるトリステイン国王が立ち上がるという、開戦の尤もらしい理由が出来る。

 しかも敵は、ロマリアから破門状を突き付けられた謂わば神敵たるオリヴァー・クロムウェルだ。

 何処ぞのレコン・キスタに迎合した愚者でもない限りは、この戦争に反対などしないだろう。

 尤も、コルベールは生徒が戦争に向かうのは、反対をするかも知れないが……

 どの道この侭、放っておけば向こうから攻めて来るのだろうし、そうなったら戦争反対などとは言っていられない。

 悪く言えば、国土を戦火に焼かれる前に他国で済む間の内に、決着してしまおうという事だ。

 愚かな人間同士の戦争は早い内に終わらせたい。

 ガリア王国の問題も未だ残っているし、アルビオンの問題を残せないのだ。

 それがユートの望みだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 戦争に入るには少し時間もあるし、ユートは自分の問題を片付けるべく、部屋にカトレアとシエスタを呼んだ。

「2人共よく来てくれたね……って、何を行き成り脱ぎ始めてるかな?」

「え? こんな夜中に呼んだんだし、エッチするんじゃないの?」

「その科白回し、翔子ちゃん辺りが教えたのか?」

「そうよ」

 カトレアはニコニコ笑顔で言う。

 ハルケギニアの科白回しに『エッチする』なんて、存在していない。

 これは現代のスラングなのだから。

「まったく、要らん事ばかり教えてからに……」

 頭を抱えるユート。

「兎に角、って脱ぐな!」

 シエスタまで脱ぎ出し、思わず怒鳴る。

「ユートさんはしたくないんですか?」

「するにしても後でだ! 2人に話したい事がある」

 どうやら真面目な話だと判断したのか、カトレアもシエスタも黙って聞く体勢に入った。

「それで、話というのは何かしら?」

「僕が先だって、ロマリア連合皇国に召喚を受けて、ロマリアを占拠した敵と闘ったのは知ってるね?」

「ええ、聞いているわ」

「僕はその際に死に掛け、僕をこの世界に送り込んだ存在より上の存在に会い、自分の未来の在り方を教えられたんだ」

 既にユートが転生者である事を知るカトレアは兎も角として、そんな事情を知らないシエスタは少し戸惑いを覚える。

「この世界? 送り込んだ存在?」

「シエスタ、よく聞いて欲しいんだ……」

 戸惑うシエスタにユートは語る、自分がこの世界を俯瞰して観察する【受容世界】で死んで、とある神様に転生させられた存在──転生者である事を。

 この世界の出来事が物語で語られており、その平行世界がこの世界だと。

 ユートはその内容を知るが故に、幾つもの物語≠変えてきた事も、それにより、本来の道筋から掛け離れた人間も大勢居ると云う事、その中にカトレアやシエスタやジェシカも含まれている事も全てを。

 呆然となるシエスタは、ユートに訊ねた。

「つまり、本来の私は才人さんを好きになっていて、ルイズ様と取り合っていたという事ですか?」

「そうだよ」

「カトレア様はこの事を、ご存知だったのですね?」

「ええ、知っていたわ」

 知ったのは割と最近の事ではあるが、シエスタに先んじて知っていたのは確かな事実。

「ユートさん……」

 パシン!

 普段なら決して有り得ないだろう、シエスタからの平手打ちを喰らう。

「私は貴方の何ですか? 貴方にとっては単なる物語のキャラクター? これでも私はユート≠ノ精一杯の好意を向けた心算です。なのに、私の事をどうして信じてくれなかったの? この気持ちは私だけのモノです! 物語のシエスタがどうかは知りませんけど、この世界のこの場所に居るシエスタ・シュヴァリエ・ド・ササキは、ユートの事を愛する一人の女の子! 貴方だって、私が好きだから自分のモノにしたくて、引き寄せたんじゃないんですか? なら最後まで私を愛して、信じて下さい!」

 それは魂からの慟哭。

 ユートは思った、自分は何て愚かだったのかと。

「ごめんな、シエスタ……愛してくれて有り難う」

 全てを話して、全てを委ねようとシエスタの身体を抱き寄せながら、ユートはそう考えた。


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