ゼロの使い魔【魔を滅する転生者】

第13章:[使い魔召喚の儀式](1/34)

.
夏期休講……即ち夏休み。

ユートは厳重にロックを掛けて、モンモランシ伯爵家へと向かう。

勿論、モンモランシーを伴っていた。

足となる電動車を運転するのはシエスタで、カトレアとルイズとユーキとケティクー子に加え、タバサまで居る。

モンモランシ伯爵家に行く理由は、モンモランシーが水霊術の使い手として目醒めた事の報告と、彼女からの気持ちを知ってしまったから、流石に無視は出来ない故にその報告も兼ねてのものだ。

電動車の最高速度は精々、120km程度。

勿論、最高速度など交通法規が無くとも出せないが、それでも馬車よりはずっと速い。

現代日本より道が馴らされていないが、割と広々としているから最高速度の半分くらいなら出せるのだ。

半日程度でモンモランシ邸に着くと、モンモランシーはモンモランシ伯爵や夫人とハグ+頬にキス。

ユートの日本人的な感覚では今一、馴染めないコミュニケーションである。

欧米では割と普通なのだろうが、日本で同じコミュニケーションをしたら、まず間違いなく引かれる行為であろう。

「マリー、もう行ってしまうというのかね?」

「だって、ユートから秘薬作りを習いたいし……」

「なら、彼を宿泊させれば良かろう? せめて一週間くらいは居て欲しい」

モンモランシーが申し訳なさそうにユートを見る。

仕方なくユートが伯爵夫婦に近付き、これからどうするかを話し合った。

「お久し振りです、モンモランシ伯爵、伯爵夫人」

「うむ、久しいな」

借金の申込み以来で、本当に何年か越しである。

「宿泊は構いませんが……実は連れが居まして」

「ふむ、馬が居ない様だが……変わった馬車だな」

「いえ、馬が居ない時点で“馬”車では無いですよ。それより、連れはラ・ヴァリエール公爵家の次女と、同じく三女です。ラ・ロッタ男爵家のご息女も居ますが問題ではないでしょう」

「ヴァリエール家の?」

家格が明らかに上位の公爵家息女が居るなら、こんな所に拘束するなど不可能。

「モンモン、一週間くらいなら家に居れば? 親子間のコミュニケーションを怠るのは良くないし」

「で、でも……」

ユートの顔をチラチラと見ながら、表情を曇らせる。

秘薬が云々言ってみたが、結局はユートの傍を離れたくなかっただけ。

只でさえ、カトレアは既にユートに何度も抱かれて、正妻としてのアドバンテージを発揮しているのだ。

しかも、シエスタは夏休みの間にユートに抱かれる気満々でいる。

一週間も離れていて、更に他の娘に先を越されたりしたらと思うと、どうしても頷けない。

モジモジしていると、夫人が耳打ちしてきた。

「若しかして、彼と離れたくないのかしら?」

顔に血液が逆流してくる。

真っ赤に染まり、湯気でも出そうなくらい熱い。

そして、小さく頷いた。

モンモランシーは借金の形でド・オルニエールに住む様になって、もう年単位で暮らしている。

ユートの良い部分、悪い部分を見る機会に恵まれた。

悪い部分といっても、研究にのめり込むと寝食を忘れるとか、無茶な闘いや訓練をするとか、後は複数の女の子を侍らせている事くらいなのだが……

ケティの専属として出向しているメイドなど、露骨に好意を露わにしているし、元から邸に居たメイド達にしてもそうだ。

完全な肉体関係こそ無かったみたいだが、風呂に一緒に入って嬉しそうにメイド達はユートを洗っていた。

そんな事をすれば、精通も済んだユートの欲望が擡げる訳だが、話を聞いた限りではそれの処理もしていたらしい。

但し、本当に抱かれた事は無いらしく、飽く迄も胸の在る娘は胸を使い、或いは手で、口で欲望の処理をしていた様だ。

ユートが強制してヤらせているのではなく、メイド達が自主的にしていた。

それは、メイド達がキャーキャーと黄色い歓声を上げながら『今日はこうした』とか、『私はこうやった』など嬉しそうに語っている事からも明らかだ。

モンモランシーはメイド達に訊いてみた事がある。

どうして其処までヤるのか……ヤれるのかと。

確かに最後まではしていないが、あんな事をしていればユートだって男だから、いつか純潔を無理矢理に奪われるかも知れない……

メイド達の答えは簡単。

『ドンと来い!』

……であった。

ユートはトリステイン……否、ハルケギニアきっての稼ぎ額である。

妾になればその御零れに与る事も可能……と下種の勘繰りをしたが、どうもそうでは無かったらしい。

そもそも、初めから邸に居た同い年くらいのメイドは実はメイジでもあった。

即ち、彼女らは元は貴族の生まれで零落れたか、或いは御落胤か、若しくはその子孫という事。

そして、自身の素性をある程度は知っていたらしく、彼女らは御落胤というヤツだった様だ。

生まれた事を隠さねばならない素性で、故に一つ所に軟禁状態だった。

まだ3〜6歳程度の年齢だったが故、余り気にした事も無かったが、成長するに従って当時の状況を思い出すに身震いする。

あの侭、彼処に居た場合は愉しい事を知らず、女の幸せも知らず、退屈な毎日を無為に過ごしていた。

考えるだにゾッとする。

ユートは其処から救ってくれたのだ。

勿論、それがモノの序でだったのは聴いている。

ユートには目的となる人物が居て、その子を連れ出す為に彼処へ来たのだと。

中途半端に1人を連れ出すより、全員を連れ出す方が角も立たないから連れ出しただけだとも聴いた。

その上で、好きな道を歩む事を支援すると、ユートに言われたのだ。

メイドは取り敢えずの仕事であり、いつでもやりたい事が出来たら言えば良いのだと言われていた。

魔法を使いたいなら教えるし、勉強をしたいなら教師を付ける。

子供だったからやりたい事など思い付かず、邸を出てもどうにもならない自分達は好意に甘えて専属に近いメイドとなった。

あれから10年近く経ち、邸の居心地の良さも手伝って変わらずメイドをしていたが、メイド達には共通の想いが在った。

ユートが好きだという事。

まあ、無理もあるまい。

10年近い年月を、ユートの傍でのみ過ごしたのだ。

一応、パーティーなどに連れて行かれる事もあるが、貴族のボンボンは顔立ちだけならユートより良い者も居た。

だが、自分の家を自慢をする輩ばかりで、碌でもない男しか居ない。

要は、『僕の家はこんなに凄いんだぞ』と言うばかりであり、自身が家に寄与する事は一切無く、御先祖様の名誉を自慢していたという訳だ。

結論として、ユートの傍が一番なのでは? となったらしい。

ケティやその専属メイドはもっと簡単で、生命の危機を助けて貰った。

1人、仲間が間に合わなかったのは残念だが、その子の弔いも出来たし、主たるケティがユートの許に行くのを機に、自分達も……という訳である。

色々と言っていたが、結局はユートにナニをされても良いと言えるくらい、好感度が上がっているだけだ。

モンモランシーは借金の形に求められて、最初は何てイヤらしいと思った。

だが、違う事は直ぐに理解出来た。

勉強は面白く、新しい事を教えて貰う度に興奮したものだ。

新しい魔法、新しい知識、新しい技、新しい価値観。

領地に引っ込んでいては、決して獲る事は疎か見る事すら叶わなかった物事。

全てが新鮮でドキドキしたのを覚えている。

いつしか、ユートに淡く仄かな想いを抱いていた。

そして、ギーシュとの一件で完全に自覚してしまう。

だから、ケティと共にキスまでしたのだ。

そんな想いも、母には見透かされてしまったらしい。

結局、三日間だけ実家で過ごすという話で合意をするモンモランシーであった。


.

- 288 -
前n[*][#]次n

/442 n

⇒しおり挿入


[←戻る]