ゼロの使い魔【魔を滅する転生者】

第3章:[力を求めて 世界の四天を統べる王](1/15)

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 ユートは現在、ガリア王国の王都リュティスはヴェルサルテイル宮殿の【グラン・トロワ】な在る謁見の間に居る。

 王家の紋章は組み合わせた二本の杖を象っており、人口約1500万人というハルケギニア一の大国で、魔法先進国でもある。

 その為、貴族の数が多く軍事力は非常に高い上に、軍需として様々な魔法人形が使われていた。

 此所は原作に於ける【無能王ジョゼフ】の居る国、彼の娘であるイザベラと、弟のシャルルと、シャルルの娘のシャルロット(タバサ)も居る事だろう。

 ユートが大国の謁見の間に居るのには、勿論理由が在った。

 そもそも、前にユートがトリステイン国王より貰ったモノというのが、ガリア国王へ宛てた紹介状。

 初めからユートはガリアに来る為に、国王の許可を得ようと考えていた。

 力を獲るべくユートは、ソレを獲る為に危ない橋をも渡る心算でいる。

 只、目的は未来の無能王ではないし、シャルロットやイザベラ、況してやシャルルなどでは決してない。

 意図せずして逢う事くらいあっても、それは目的ではないのだ。

 その為にこそ目の前に座るガリア国王に頭を垂れ、その許可を獲る交渉を始めている。

「正気か? あそこはそも不可侵の領域ぞ!」

「存じております、陛下。然れど、其処を押してお願い申し上げます」

「ぬう……」

 苦々しい表情になって、国王は思わずユートを睨み付けてしまう。

 確かに厄介な所だ。

 悪習の蔓延る地だ。

 だからといって、他国の者に好きに踏み入らせて良い場所でも無い。

「あそこの存在は、他国に漏れていないと思っていたのだがな。真逆、お前の様な子供に知られているか」

 献上品は悪くなかった、紙と今後の交易に於ける紙の値引き、可成り純度の高い鉄や銀。

 特に治療の魔法と併用する為の触媒となる水の秘薬とは違い、それ単体で回復可能な回復薬(ポーション)は中々の出来だ。

 然し、その対価があそこで起きる事への黙認。

 とはいえ、あそこをあの侭にしておけば、これからもあそこが使われる。

 ガリアの国王としてみればそんな悪習は何とかしたかったし、何よりロマリアの坊主の台頭は余り好ましいとは云えず、更にあそこにはあの子も居た。

 聞いた限りでは、計画はそれなりに練られており、穴はあるが自分がフォローに回れば、或いはどうにでもなるだろう。

「(此処で断ち切るべきなのかも知れぬな。彼が来たのは始祖の思し召しか)」

 永い、とても永い黙考、瞑目しながら刹那とも永劫とも云える時間、思考に没していた。軽々しくは答えられないのだ、その問題が問題であるが故に。

 高が小国(トリステイン)の子爵家の子供程度の……そんなユートの言葉ではあったがガリア王は悩んだ。

 大国(ガリア)の王がだ。

 彼も“あそこ”について以前より考えていた。

 それも三年前に、あの子があそこへと送られたと知ってからは、更に悩んだ。

 今も悩んでいるのだが、それでもロズピエール四世は決断したのか、顔を上げてユートの顔を見据えた。

「判った。協力はしよう、善きに計らうが良い」

「っ! は、ご英断に感謝を致します!」

 ユートは嬉しそうに頭を下げた。

 ガリア国王の許可を取り付けたユートが、意気揚々とヴェルサルテイル宮殿を歩いていると突然、広場から声が掛かる。

「おい、おまえ!」

 広場を振り向くと、肩まで掛かるガリアの青髪を持つ少女が居た。

 青い髪の毛はガリア王族の血を引いている証拠で、血筋が王家に近くなればなる程に、鮮やかな青銀色を顕すと云う。

 それに、見た目に年齢がユートと変わらない様に見えるが、シャルロット公女は現在だと3歳だし、1人で出歩いているとはとても思えない。

 ならば、消去法から言って答えは一つ。

「(イザベラか!?)」

 予期し得ぬ原作キャラの登場に、ユートは少しだけ驚いていた。

「おまえがお祖父様の客人なの?」

「お祖父様?」

「私はガリア王の孫娘で、王子ジョゼフの娘のイザベラ・マルテス・ド・ガリアだよ」

「成る程、姫様でしたか。そうですよ、僕はトリステイン王国のド・オルニエール子爵の嫡男で、ユート・オガタ・ド・オルニエールと云います。イザベラ様」

 ユートはニコヤカに微笑みイザベラに名乗り返す。

 その手には杖が握られている事から、魔法の練習をしていたのかも知れない、そう思ったのだが、ユートは敢えて聞いてみた。

「イザベラ姫様は、こんな広場で何をなされておられたのですか?」

「……魔法の練習」

 少しの間を置いてから、イザベラはそう答える。

 どうやら、原作通り魔法が苦手らしい。

 確か原作では水のドットであり、コモン・マジックも上手く使えなかった筈。

「イザベラ姫様、僕も姫様と同じ年頃で修行中の身ではありますが、宜しければ少し僕と魔法について語り合いませんか?」

 ユートは何故か下手くそなナンパみたいな口上で、イザベラを誘ってみた。


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